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APACCの介入事例(症例)の集め方|薬局の業務中に候補を見つけて記録する4ステップ

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APACCの介入事例(症例)の集め方|薬局の業務中に候補を見つけて記録する4ステップ

症例の書き方は分かったけど出せそうな事例が手元にない……
介入はしているはずなのに、あとから見返すと記録が残っていない

そんな疑問に答えます。

 

この記事を書いている私は、

えるいち
・働きながら1年で外来がん治療専門薬剤師を取得
・資格取得前から薬局でがん患者さんと深く関わる
・取得後は資格活用・後進育成を担い、講演会や学生向け採用イベントでも専門職として話す機会が増えました

 

【この記事でわかること】

・業務の中で介入事例の候補に気づくポイント

・忙しくても「すぐ残せる」記録の考え方

・自分が継続して対応し、経過を追うための申し送り

・たまった症例候補を提出候補として見直す観点

 

結論|介入事例の候補はすぐ残し、自分で経過を追い、後から見直す

業務中は候補をすぐ残し、継続支援が必要なケースは自分が継続して対応することを申し送りし、経過を追い、後から提出候補として見直す。

これが、この記事の結論です。

 

流れにすると、次の4ステップになります。

・ステップ1 候補発見|「候補かも」に気づく

・ステップ2 記録|業務中にすぐ残す

・ステップ3 経過の追跡|自分が継続して対応することを申し送りし、経過を追う

・ステップ4 提出候補の整理|たまった候補を後から見直す

 

この流れは、わたしが薬局で実際にしていたことを整理したものです。
制度で決められた手順ではありません。

 

外来がん治療認定薬剤師(APACC)の新規申請では下記が必要です。

がん患者さんへの薬剤管理指導50症例以上の実績から、外来がん患者さんへの薬学的介入事例を10例提出する

 

BPACCはAPACCを取得した上で追加の要件を満たして申請します。

BPACCを目指す場合も、まずAPACCの段階で介入事例を準備することになります。

 

この記事で扱うのは、症例を「書く」前の段階です。

書き方は「症例に書くべき内容、解説します!」で、資格取得の全体の流れは「【10ステップで完全解説】1年で外来がん治療専門薬剤師になるためのロードマップ」で解説しています。

 

なぜ「書く前」の段階でつまずきやすいのか

介入事例は、介入したその場で完成とはなりません。

日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)の「様式2の書き方」では、単に「医師に提案した」と書くだけでは不十分と記載されています。

提案の根拠や、その後どうなったかを説明する必要があります。
(何を残せばよいかは、ステップ2で詳しく整理します)

 

また事例には対象期間があります。
2026年5月29日版の認定試験Q&Aでは、新規申請の締切月から逆算して5年以内とされています。(2026年度:2021年9月〜2026年8月)

次の年度の期間は公開されている資料で確認してください。

 

忙しい業務の中では介入したことも、その後の経過も時間がたつと思い出しにくくなります。

「あとでまとめて書こう」と思っていると、いざ書く段階で材料が足りないということも。

だからこそ書く前の段階で候補をためておく仕組みが役に立ちます。

 

ステップ1 候補発見|「候補かも」に気づく場面

最初のステップは、日々の業務の中で「これは候補になるかもしれない」と気づくことです。

わたしの経験と迷ったときの目安に分けて紹介します。

わたしが候補に気づいていたケース

候補に気づきやすかったのは主に自分が服薬指導や電話でのフォローをしているケースでした。

患者さんの症状に気づき、医師へ対処法を提案したケースはそのまま症例として使いやすかったです。

 

スタッフから相談を受けて、そこから引き継いで介入したケースも少数ですがありました。

自分が最初に対応していなくても、その後の介入から症例候補が生まれることもありました。

迷ったら「根拠を持って評価・提案した場面」を残す

「これは提出できる事例なのか」を、その場で判断する必要はありません。

根拠を持って患者さんの状態を評価し、提案したケースはいったん候補として残しておくのがオススメです。

候補として残すことと、実際に提出できる事例かどうかは別の話です。

提出するかどうかはステップ4でまとめて見直せば大丈夫です。

 

症状に気づくためのがん薬物療法の知識は「外来がん治療認定薬剤師(APACC)を目指すなら、症例作成の前に何を学ぶべきか?押さえておきたい基礎知識の地図」で、電話での聞き方は「【薬局介入】服薬フォローの電話アプローチの仕方」で紹介しています。

 

ステップ2 記録|業務中にすぐ残せる方法を優先する

2つ目のステップは記録です。

ここで大事なのは完璧な記録よりも「すぐ残せる」ことを優先すること。

わたしがしていた残し方

わたしは、情報提供の書類をコピーしてファイリングしていました。

記録の方法は、業務中にすぐ残せることを優先していました。

 

結果がまだ分からないケースも、まずは残しておきました。

 

この段階では、文章にまとめることよりも、あとから見返せる材料を残しておくことを優先するのがオススメです。

後から見返すときに必要になる3つの要素

では、何が見返せればよいのでしょうか。

JASPOの「様式2の書き方」(2026年5月29日版)には、次の3つを書くことと記載されています。

・介入の根拠

・具体的な対応

・結果・成果

 

根拠のない提案や、単に「医師に提案した」という記載だけでは不十分。

そのため記録の段階では、この3つをあとからたどれる状態になっていれば十分です。

文章をこの段階で整える必要はありません。

可能性のある症例さえ集まっていれば薬歴であとから調べられます。

 

症例に書く項目や文章の型は「症例に書くべき内容、解説します!」で詳しく解説しています。

記録・保管は勤務先の規定に従う

書類のコピーや手元のメモも、患者さんの情報です。

個人情報保護委員会・厚生労働省のガイダンスでは、利用目的を特定し、その範囲内で取り扱う必要があるとされています。

 

記録の残し方・保管の仕方は、必ず勤務先の規定に従ってください。

なお資格申請で提出する症例記載では、患者さん個人が特定されないよう配慮することが求められています。

業務の中での保管と資格申請での提出は別のものとして個人情報の扱い方は注意しましょう。

ステップ3 経過の追跡|自分が継続して対応することを申し送る

3つ目のステップは、介入したあとの経過を追うことです。

わたしが経過を追うためにしていたのは、自分が継続して対応することを申し送りしておくことでした。

わたしが経過を追っていた方法

実際に介入した症例の中に医師に対処法を確認したあと、その日のうちに患者さんへもう一度電話をしたケースがありました。

数日後にもフォローし、その経過を医師へ報告する場合もあります。

追加の資料も綴じて、重点的に治療の経過を追っていました。

 

継続して支援が必要な場合は薬歴に「私が行きます」と申し送りをして、自分が対応しやすくしていました。

これはわたしが実際に経過を追ったケースでのやり方です。
すべての患者さんに同じ時期・同じ方法でフォローはできないのでケースに合わせて判断する必要があります。

 

申し送りの書き方は職場によって違うと思いますが、自分が継続して対応することを申し送りしておくと患者さんの経過を追いやすくなります。

電話フォローでの具体的な聞き方は「【薬局介入】服薬フォローの電話アプローチの仕方」をご覧ください。

治療継続中のケースも候補になり得る

「治療が終わるまで、結果が出ないのでは?」と不安になるかもしれません。

JASPOのホームページでは、治療が継続中でも薬学的介入の結果が明確であれば報告の対象になるとされています。
その場合は、継続中であることを記載します。

 

わたしも結果が分からないケースもまず残しておき、空いた時間に情報が更新されていないかを確認していました。

症例の候補を集める時は、結果が出るのを待たずに、まずは記録を残して経過を足していくのがオススメです。

ステップ4 提出候補として整理|後から見直す観点

最後のステップは、たまった候補を見直して提出候補を選ぶことです。

公式の資料で確認できる観点と、わたしが見ていた観点に分けて紹介します。

公式の書き方で確認できる見直しの観点

まずステップ2で挙げた3つ(根拠・対応・結果)が、それぞれ説明できる候補かを確認します。

 

・類似する提案・介入が全体に散見されることは好ましくない例とされている

・提案が採択されなかった場合も、採択されなかった理由とその後の対応を記載する

 

不採択の場合の書き方も示されているので、採択されなかったことだけを理由に候補から外さず、理由とその後の対応まで記録が残っているかを確認しておくのがオススメです。

また記事の前半で触れた対象期間に入っているかも、あわせて確認しておきます。

わたしが候補を選ぶときに見ていたこと

わたしが候補を選ぶときに確認していたのは、次の3つです。

・評価・提案の根拠があるか

・介入後の経過が追えているか

・副作用や介入内容が偏りすぎていないか

 

これはわたしの経験として見ていた観点で、公式に決められた基準ではありません。

症例の選び方やバランスの詳しい考え方は、同じ副作用の症例の扱いを解説した記事や、ロードマップ記事のステップ6で紹介しています。

候補が決まったら書く段階へ

提出候補が決まったら、いよいよ症例を書く段階です。

書き方は「症例に書くべき内容、解説します!」、

書いたあとの確認は「【ムダな症例はない!】自信を持って症例を書いていけば必ず書けるようになります。」をご覧ください。

 

まとめ|今日の業務から始めること

介入事例の候補は、業務中にすぐ残し、継続支援が必要なケースは自分が継続して対応することを申し送りし、経過を追い、後から提出候補として見直すことで、取りこぼしにくくなります。

 

・今日の業務で「候補かも」と気づいた場面を、勤務先の規定の範囲で1件残す

・継続支援が必要な患者さんは、薬歴に自分が引き続き対応することを申し送る

・結果が分からないケースも先に残し、あとから経過を足す

・ある程度たまったら、根拠・経過・偏りのポイントを見直す

 

まずは今日1件残すところから始めてみてください。

候補が決まった方は「症例に書くべき内容、解説します!」へ、資格取得の全体の流れを確認したい方は「【10ステップで完全解説】1年で外来がん治療専門薬剤師になるためのロードマップ」へ進んでみてください。

 

参考文献

  • この記事を書いた人

えるいち

大手調剤薬局で薬局長、管理薬剤師やってます。初責任者になったとき、元気はあるけどスキルがなくてメンタル爆死。その経験でビジネススキルやノウハウの大切さを実感。薬剤師として生き抜く情報発信してます。

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