・患者さんに電話で何を聞けばいいんだろう。
・薬局から患者さんに電話って迷惑じゃないのかなぁ。
そんな疑問に答えます。
この記事を書いている私は、
・6年間 大手調剤薬局で薬局長・管理薬剤師として業務
・2人の子どもを育てつつ、薬局でがんの専門をとるノウハウを発信中
【本記事の内容】
・【薬局介入】服薬フォローの電話アプローチの仕方(実例付きで説明します)
・これで安心!電話服薬フォローで確認すべきことを解説します。
・薬局からの電話服薬フォローが迷惑でない3つの理由
この記事では電話での服薬フォローの仕方が把握でき、安心して症例集めがスタートできます。これから介入を進めたい人はご参考ください。
【薬局介入】服薬フォローの電話アプローチの仕方(実例付きで説明します)
実際に患者さんにアプローチする時の説明方法を紹介します。
言い方とかを変えてパターンを持っていると説明しやすくてラクです。
【ケース1】病院からの情報提供書を持っている場合
【ケース2】病院からの情報提供書を持っていない場合
【ケース3】内服のみで長期で服用している方の場合
個人的なポイントは
・どういうリスク管理のために確認するか
・情報はきちんと医師と共有すると伝える
・不安を与えないように伝え方に配慮する
こういったことに気をつけながら相手を見て伝え方を変えています。
「大丈夫だと思ってたけど、何か怖いことが起こるのか?」って相手が思わないよう、落ち着いて声掛けをしてみてください。
これで安心!電話服薬フォローで確認すべきことを解説します。
いざかけても何を聞けばいいかわからない。
電話服薬フォローに慣れていないと色々不安になりますよね。
まずはポイントを絞って確認がオススメ。
次の確認すべき3つのポイントを参考にしてみてください。
症状の変化
・化学療法の特徴的な副作用
・支持療法で副作用はカバーできているか
・病状の進行などが見逃されてないか
体調を聞くといっても症状の変化の原因は様々。
抗がん剤の副作用だけでなく、支持療法で使ってる薬で出ている症状の可能性もあります。
またがんの進行で出ている症状の可能性もあるので、可能性を絞り過ぎないことが大切です。
どの情報も治療を判断する材料になるので「あまり関係ないかな」と思っても確認するようにしましょう。
飲み忘れ
飲み忘れをした時の対処は薬によって違うので忘れず確認しましょう。
例えば、S-1などの休薬があるものは休薬期間をしっかり確保することが大切です。
カペシタビンやロンサーフのように休薬がわかりにくい薬もあります。
血液内科などで治療スケジュールが医師にしか把握できないものもあります。
飲み忘れ後の対処がわからない場合はトレーシングレポートで確認してください。
意外な判断が出て勉強になるって経験にも繋がりますよ。
不安なことはないか
薬局からの電話フォローの価値の大半は「不安の聞き取り」だと思っています。
実際に自宅で過ごしての治療だと軽い症状でもどうなるのか不安が膨らみます。
そんな患者さんに寄り添って不安を聞き取ることが大切です。
患者さんも「薬局からの急な電話で何を相談すればいいのかわからない」と思っています。
まずは不安なことをなんでも言ってもらえるきっかけとして「不安の聞き取り」は有効です。
私自身の経験ですが、不安の聞き取りから病状進行を早期で気づいたケースがあります。
レトロゾール 90日分で処方されている方へ受診の間隔が長いため電話フォローを行いました。
「痛みもないから気なる程度ですが首の筋のあたりが膨らんでて気になる。押しても何もないんだけど」
この聞き取りを医師に情報提供した結果、乳がんのリンパへの転移の可能性があるってことで翌週に検査を行うことになりました。
患者さん自身にしかわからないちょっとした不安が重要な情報になりえるケースもあります。
薬局からの電話服薬フォローが迷惑でない3つの理由
電話服薬フォローは慣れるまで相手に迷惑じゃないかと不安になりやすいです。
これからがんばっていこうと思うあなたの背中をそっと押せるように「迷惑でない理由」を紹介します。
「色んな人が気にかけてくれてる」って安心感の価値は高い。
自宅で化学療法を続けると些細なことが相談できずに不安だったりします。
「この症状は副作用なのかな」
「薬を休んでしまうともう治らなくなるかもしれない」
「気になる症状はあるけど病院で相談するようなことじゃないのかも」
普段の生活で起きる体の変化が全部気になってくる。
そういう方もいます。
命に直結する病気だからこそ不安な生活は続きます。
そんな中で誰かが心配して電話をかけてくれる。
「色んな人が気にかけてくれてる」って安心感は患者さんにとっては価値の大きいものです。
副作用の好発時期を自宅で過ごす人が多いのでリスク管理としてメリットあり
治療効果の面でも電話服薬フォローはメリットがあります。
化学療法による副作用の中には少し時間が経ってから起きるものもあります。
好発時期が自宅での療養中ってことも多い。
・下痢(イリノテカンの遅発性だと4~10日、分子標的薬で1~2週)
・遅延性の吐き気(24~48時間後に起き、2~5日持続する)
・発熱性好中球減少症(1~2週)
色んなレジメンで生じやすい副作用でも好発時期が1週間ほどってことも。
早期にモニタリングをして対処できれば治療を中断せずに行うことができます。
レジメンが継続できて治療効果をきちんと得られるのはかなり大きなメリットです。
「電話を断る」=「迷惑」ではない!気持ちを楽にして取り組める考え方
電話のアプローチをする際、断られることもよくあります。
ただ「電話を断る」ってのも考え方でかなり楽に捉えられます。
大切な考え方は、患者さんの生活は治療だけではないってことです。
普通に会社に行って仕事をして、休日に外出してプライベートを楽しむ。
そんな中で時間をやりくりして治療を続けている。
「電話を断る」って人の中にはただ単にスケジュールが合わなさそうで忙しいって人もたくさんいます。
自分のアプローチが迷惑に思われたと考えず「忙しい中でむずかしいかな」と前向きに考えてみてください。
あなたの電話服薬フォローで助かる人は必ずいます。
そんな人を助けるためにも心配せず取り組みを続けるようにしましょう。