どんな内容を書くべきなのか、文章の構成を教えてくれないかな。
症例書くときの注意点はどんなのがあるんだろう。
そんな疑問に答えます。
この記事を書いている私は、
・6年間 大手調剤薬局で薬局長・管理薬剤師として業務
・2人の子どもを育てつつ、薬局でがんの専門をとるノウハウを発信中
【本記事の内容】
・症例に書くべき内容、解説します!(ポイントを整理すれば断然書きやすいです)
・【文の構成】症例は文章の型がわかっていると断然書きやすくなります
・症例を書く時に注意すべき3つのポイント
私自身、症例の書き方がわからずスタートしにくかったです。
症例がなかなか進まない人はぜひポイントを押さえて進めてみましょう!
症例に書くべき内容、解説します!(ポイントを整理すれば断然書きやすいです)
レジメン名は必須です
症例に実施している『レジメン』は必ず書くようにしましょう。
ハードルは高いですが、治療が適正か判断するのに必須の項目です。
・情報提供書を病院に発行してもらう
(連携充実加算をとっているとこだと出してくれやすい)
・患者さんに聞き取る
(安全なサポートのために必要と伝えると聞き取りやすい)
・患者さんの同意を得て病院に照会する
(本人が知らないケースで有効)
始めはハードルが高いですが、患者さんのために必要な情報なのでわからない場合は病院と相談してみましょう。
時系列で何が起きたか
介入した症例をわかりやすく伝える必要があります。
だからこそ時系列通りに何があったか書くようにしましょう。
・元々どういう患者さんか
↓
・副作用が見つかり、評価して医師に対処の提案
↓
・結果どういう支援につながったか(副作用治った、治療が継続できた、など)
起承転結に注意しつつ、時系列を守って書けば伝わりやすいです。
介入の結果はしっかり書こう
介入したあと、どうなったか。
結果は忘れずに書きましょう。
意外と結果を書かずに忘れる人は多いです。
・介入後の副作用はどうなったか
・治療は継続できたか
・他の化学療法に切り替わったのか
短めでも伝われば大丈夫なので結果は忘れず書きましょう。
副作用の根拠は忘れずに
服薬モニタリングをして症状の聞き取りをした時の注意点。
「それ、本当に副作用ですか?」
この視点で根拠を考えるようにしましょう。
例えば下痢の副作用を聞き取った場合、
・抗がん剤で出てくる可能性のある時期なのか
・感染症ではないのか(他に発熱、咳、鼻水などは出てないか)
・元々の疾患の影響ではないか
こういった原因を検討し、副作用と考えられる根拠を症例に書きましょう。
査読者が「でもこれって普通にお腹壊したんじゃない?」ってならないように書くのがポイントです。
Stageやサブタイプはわかるなら記載を(必須でないこともあるのでわかれば書こう)
薬局でStageやサブタイプの情報を得るのは難しいかもしれません。
ただ、わかるのなら書いた方がいいです。
実際に外来がん治療認定/専門薬剤師を取るための症例では必須ではありません。
必要なすべての症例でわからなくてもわかる範囲は書きましょう。
(がん種によってはStageがわからないとレジメンが適正か判断できません。面接で聞かれる可能性があるので、症例として書くほどの自信がない場合でも推測はしておきましょう。)
【文の構成】症例は文章の型がわかっていると断然書きやすくなりますよ
症例を書くとき、文章の型がわかっているとかなり書きやすくなります。
基本的に書くべき内容は決まっています。
・患者情報
・治療状況
・何が起きたか(副作用と根拠)
・介入と提案内容
・介入結果
この流れで書いていけば伝わりやすい症例記載がしやすいです。
患者情報
まずはどんな患者さんなのかを書きましょう。
サブタイプ、性別、年齢、がん種
20~30文字でいいので基本情報として初めに書きましょう。
治療状況
初回の治療なのか、術後なのか、切除不能でいくつか治療を経た後なのか
具体的な治療の情報によって副作用の根拠やサポートが変わってきます。
「切除不能結腸がんの一次治療として〇〇療法開始の患者」
こんな感じで簡潔にまとめて書きましょう。
(患者情報の流れで書いてしまうのが書きやすいですよ)
何が起きたか(副作用と根拠)
基本情報が書けたら次は「何が起きたか」を書きましょう。
副作用の経緯を時系列で書いていけば伝わりやすい文章になります。
・副作用がどんな順にひどくなっていったか
・この薬を使ってるから副作用の可能性が高い
・他の要因の除外(下痢や発熱だと感染性ではないかを確認する、など)
この項目は始めから文字数を気にすると書けなくなります。
ボリュームは気にせずまずは書いてみましょう。
介入と提案内容
副作用の経緯が書けたら次は「どんな介入を提案したか」です。
介入の根拠は何を参考にしたか書けていればOKなことが多いです。
「適正使用ガイドに準じて」
「高血圧ガイドラインに従い」
「減量基準に基づいて」
どんなことを考えてこの介入を行なったかを伝わりやすくまとめましょう。
介入結果
最後は介入の結果です。
いわゆるオチですね。
どれだけ一生懸命書いてもオチがなければ査読者は「それで結局どうなってん!」となってしまします。
副作用はどの程度改善したのか、治療は続けられたのか。
そんな結果を最後に忘れず書きましょう。
症例を書く時に注意すべき3つのポイント
文字数制限は必ず守ろう!(でも書き始めは無視した方がいいです)
認定や専門によって症例の文字数は異なります。
基本的に文字数制限はどの要件にもあります。
せっかくいい症例でも文字数を超えると不合格になるので必ず守りましょう。
介入した後の『結果』は忘れずに書きましょう
介入後の『結果』を忘れる人が意外に多いです。
◎「介入し、医師からこの薬が出ました」(結果が書けてないパターン)
この情報だけだと、介入でどうなったかがわかりません。
◎「その後、数値が改善し治療継続できました」(結果が書けてるパターン)
結果まできちんと書いてあると介入が妥当だったのか判断しやすくなります。
必ず介入で治療が継続できた結果じゃなくても大丈夫です。
「介入によりレジメンは中止になったが、早期介入で副作用の改善も早かった」
副作用に対して早期対処ができたという結果でも適切に介入できたと伝わります。
疑義照会だと介入として認められないケースもあります
疑義照会の事例は「どんな疑義なのか」が重要です。
例えば『ワーファリンが他の病院で処方されている人に、Sー1が出たケース』の疑義照会は専門的な介入として認められる可能性が高いです。
ただ同じSー1でも体表面積から用量が適切でないって疑義の場合に専門的な介入として認められないケースもあります。
(「用量の確認は普通の薬剤師でもするよね」って思われる場合です。もちろん症例として認められるケースもあるので症例がなかなか集まらなくて使うのはいいと思います。)
ポイントは『専門性がないとできない疑義だったかどうか』です。
読む人次第のところもありますが、専門的な知識がなくてもできそうだなと思ったら使わない方が無難です。
慣れていない症例を書くのは大変です。
患者さんへの介入も同時にする場合はもっと大変です。
書くべき項目を把握して、できる限り負担を減らしてください。