
薬の勉強をしないといけないと思いつつ、何からしたらいいかわからない。勉強会に出たりはするけど結局現場で使えない知識ばかりで達成感がない。薬ごとの違いに詳しくなりたい。
この本はそんな悩みにオススメです。
【本記事の内容】
・すぐに使える知識が手に入る!薬ごとの違いで処方解析のレベルアップ!【成分→製剤】
・薬理学が現場で使える知識になる。記憶の定着しやすいエビデンスがうれしい。
・『こぼれ話』が実用的!服薬指導や若手の教育にも活きる使えるマメ知識。
この記事を書いているボクは、調剤薬局で9年勤めてる薬剤師。薬局長や管理薬剤師、地域薬剤師会の理事なんかをしています。勉強や仕事の仕方がわからずに苦しむ人を救いたくてブログで発信中。読書はビジネス書が多め。
さっそくですが、調剤薬局で働いてるとある程度の知識で働けてしまいませんか?
入社してすぐは薬の知識を増やそうと勉強を意識しつつ、疲れて寝てしまう。
仕事に慣れてくるとだんだん今の知識のままでいけるなあとなってくる…
でも、不意に知識を求められた時に説明ができる薬剤師って憧れます。
「薬の知識を身につけたいけど、現場で使える知識がほしい。」
「今更なにから勉強したらいいかわからない。」
「薬の知識に自信をもって働けるようになりたい。」
そんな想いがあるアナタにオススメの本。
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」
読みやすく、タイトル通りすぐに使える知識が詰まってます。
今回はこの本の3つのオススメポイントを紹介します。
【著者のプロフィール】
児島 悠史(こじま ゆうし)
薬剤師 / 薬学修士 / 日本薬剤師会JPALS CL6。2011年に京都薬科大学大学院を修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見から生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、ブログ「お薬Q&A~Fizz Drug Information」やTwitter「@Fizz_DI」を使って科学的根拠に基づいた医療情報の発信・共有を行うほか、大学や薬剤師会の研修会の講演、メディア出演・監修、雑誌の連載などにも携わる。主な著書「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100(羊土社)」、「OTC医薬品の比較の比較と使い分け(羊土社)」。
【本の概要】
類似薬の「違い」を知って服薬指導に活かす!
すぐに役立つ充実の100テーマで,個々の薬の特徴がよくわかる! 服薬指導や疑義照会,処方提案にも自信がもてます! (Amazon販売ページより引用)
1、すぐに使える知識が手に入る!薬ごとの違いで処方解析のレベルアップ!【成分→製剤】
大学で学んだ知識だけで働いていると類似薬の何が違うかよくわからないまま服薬指導していませんか?
薬ごとの違いがわかって服薬指導できるようになると、
・処方変更の時に「どうしてこの薬になったか」が説明できる。
・薬ごとの注意点を自信を持って説明できる。
・抑えるポイントをきちんと指導できる。
こんな薬剤師、カッコよくないですか?
実際に服薬指導や実務実習生への教育で類似薬の違いを理解して説明できる薬剤師ってカッコいいんです。
患者さんは30日処方だと1ヶ月に1度、90日処方だと3ヶ月に1度しか薬の説明を聞くチャンスがありません。
処方変更のタイミングで変更後にどんな注意点があるかをきちんと説明していないと副作用が出たとしても気付くのが3ヶ月後って可能性もあります。
薬剤師が知識と自信をもって説明することは、患者さんを守るためでもあるのです。
私も管理薬剤師になってから店舗の仕事に追われて薬の勉強をせずにいました。
実際に現場でよく見る薬の違いをメインに取り上げてくれているのでサクサク読めました。
むしろ本を読みはじめてから、「確かにこの薬だけ違う処方あるわ。」と気づくことも多かったです。
知識と気づきが一気に手に入る一冊です。
2、薬理学が現場で使える知識になる。記憶の定着しやすいエビデンスがうれしい。
薬理学って薬剤師っぽいけど、調剤薬局の現場でその知識を活用することって少ないですよね。
理解できてたらカッコイイんだろうけど、なかなか活用できない。
そんな人はこの本で類似薬にどうして違いが出るか覚えると活用しやすいかも。
「なんで食べ物の注意が多いのにいまだにワーファリンの処方なんだろう。」
「カルベジロールからビソプロロールに切り替えになったけどなんで?」
「前立腺肥大の薬ってどれも似てるけど、結局なにが違うの?」
この本ではそういった製剤ごとの「なんで」が解決します。
たとえば、
ワーファリンだと効果時間の長さ(半減期が長い)や治療効果の評価(PT-INRでの評価)で優位性があり、なおかつ安価で処方選択されている。
ビソプロロールはβ1選択性が高いため血圧を下げずに心負荷を下げられる。
前立腺の薬はα1受容体のサブタイプへの選択性がそれぞれ違い、人によって受容体の分布が異なるため効果を見つつローテーションされる。
こういった内容が豊富にあるため、根拠を持って類似薬の知識をつけられます。
私も総合病院の門前でいろんな薬は扱うものの、特に循環器の薬が苦手でした。
「大量に出過ぎてて何に効いてるかわからん…。」
正直そんな気持ちも今まではありましたが、この本で知識を整理してからは
「この薬を選ばれてるってことは不整脈の傾向が高いのかな?」
と患者さんの状態をより深くイメージできるようになりました。
根拠と自信を持った知識は現場ですぐに活用できたりします。
あと、薬理学を使いこなせる薬剤師になった気分でカッコイイかなと自信にもなります。
3、『こぼれ話』が実用的!服薬指導や若手の教育にも活きる使えるマメ知識。
昔、参考書なんかのスミにプチクイズや豆知識が載っていることがありませんでしたか?
私、アレがけっこう好きでした。笑
程よい息抜きと雑学アップになり、意外とそっちの方が実用的な知識になったりしました。
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」では、カテゴリごとに2、3個の「こぼれ話」があります。
製品名の由来であったり、服薬指導の時に注意した方がいいプチあるあるなど。
たとえばベタニスの名前の由来がβ3 agonist、ベシケアはVesica(膀胱)をCare(保護)するが由来、と覚えやすくなるように紹介してくれています。
著者の優しい人柄が垣間見える瞬間だったりします。
豆知識とはいえ、参考文献もしっかり載せてくれているので詳しく調べたい時にも役立ちます。
類似薬の勉強にプラスアルファの知識が手に入るって得した気分になれます。
【まとめ】
「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」は、
・類似薬の違いを根拠を持って覚えられる。
・説明がやさしいので久しぶりの薬の勉強でも読める。
・豆知識が豊富なので楽しくインプットできる。
こういった特徴のある実践書です。
なにより、普段の仕事ですぐに役立つ知識が多い!
自信をもって服薬指導ができる薬剤師になりたい方には必読の一冊です。