セルフメディケーションってそもそもなんだろう。この制度を使ってどんな得があるんだろう。この制度で注意した方がいいことってあるのかなあ。
そんな悩みに答えます。
【本記事の内容】
・セルフメディケーション税制について解説します【返ってくる金額がわかります】
・セルフメディケーション税制を活用して『得する人』
・【注意】セルフメディケーション税制で気をつけるべき3つのポイント
この記事を書いているボクは、調剤薬局で9年勤めてる薬剤師。管理薬剤師歴は3年ほど。薬局長や地域薬剤師会の理事なんかもしています。勉強や仕事の仕方がわからずに苦しむ人を救いたい気持ちでブログ発信中。読書はビジネス書が多め。
セルフメディケーション税制について解説します【返ってくる金額がわかります。】
セルフメディケーション税制って言葉はわかるけど、説明ってなるとできないかも。
調剤薬局やドラッグストアだと聞かれることもあるかもしれません。
でもなかなか見直す機会ってないですよね。
調べてもどう得なのかよくわからない。
あなたのそんな疑問を解決します。
セルフメディケーション税制は、3つのポイントを抑えればスッキリ理解できます。
3つのポイントをざっくりまとめると、
・対象商品を、
・12,000円以上買った金額(トータル10万円までの金額)から12,000円引いた金額を、
・医療控除とどちらか選んで所得から引いた分、税金が減る。
こんな制度です。
それぞれくわしく説明します。
セルフメディケーション税制で対象なのは「OTC」だけ
セルフメディケーション税制では「OTC」だけが対象になります。
OTCの中でも82成分を含むものだけです。
なのでOTCをたくさん買ったお客さんが全ての領収書を大事に取っていても意味がありません。
確定申告でセルフメディケーション分の減税を申請する際は、対象商品のみの用紙が必要です。
どの製品が対象になるのかはこちらのリストを参考にしてください。
セルフメディケーション税制対象品目一覧(厚生労働省HPより引用)
OTCをたくさん買うと得だと勘違いしてお客さんに説明しておくとトラブルの原因になるかもしれません。
取扱商品の中でどのくらい対象商品がありそうか把握しておきましょう。
セルフメディケーション税制の計算方法とは
実際の計算法は、
対象商品12,000円以上買った金額(トータル10万円までの金額) ー 12,000円引いた金額
この金額が所得から引かれるので、所得税と住民税が安くなります。
対象商品を年間に30,000円分買った場合、
30,000円 ー 12,000円=18,000円
所得から18,000円引かれます。
年収〇〇万円までなら所得税は所得の20%、住民税は所得の10%なのでトータル30%税金が安くなります。
ただし上限が購入金額10万円ってところは注意が必要です。
100,000円 ー 12,000円 =88,000円なので
いくら10万円を超えて対象商品を買っても88,000円までしか所得から引けません。
12,000円以内ならそもそも引ける金額がなかったり、超えても対象商品でなければ金額に入らないので注意してください。
セルフメディケーション税制と医療控除との違い
セルフメディケーション税制を勉強していくと、医療控除と違うの?って疑問が出てきます。
人によっては医療控除とあわせて計算すると思っている人もいます。
計算が思ったのと違うってことにならないよう違いの説明をします。
医療控除は「医療機関で支払ったお金」が対象です。
・病院や診療所の受診
・薬局で処方箋医薬品の購入
・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による施術
・介護サービス
こういったものが対象です。
医療控除の対象にならない注意が必要なものは、
・予防接種(予防医療は対象外)
・健康目的のビタミン剤などの薬の処方
・整骨院などでのマッサージ(公的資格者でない者からの施術は対象外)
・健康診断
こういった予防目的や健康目的で発生した費用は対象外となります。
医療控除は医療機関での自己負担の10万円を超えた分が所得から引かれます。
たとえば病院での自己負担が10万円、薬局での処方箋薬が5万円自己負担だった場合、
10万円(病院)+ 5万円(薬局)ー10万円=5万円
この5万円が所得から引かれるので、その分の所得税と住民税がお得になります。
よくある誤解ですが、セルフメディケーション税制と医療控除は合わせて利用することはできません。
どちらかを選んで申告することになります。
セルフメディケーション税制を活用して『得する人』
セルフメディケーション税制の制度がどういうものかはわかったけど、どんな人が『得する』んだろう?
制度はなんとなくわかっても具体的にどんな人が得するのかわかりにくいですよね。
セルフメディケーション税制で得する人はざっくり言うと、
・医療費はそこまで高くないけど、OTCをよく購入して体調不良は乗り切ってる。
・防災用にOTCをまとめ買いした。
こんな人だとこの制度を利用して節税することができます。
『医療費はそこまで高くないけど、OTCをよく購入して体調不良は乗り切ってる。』
このパターンはたとえば、
・昔スポーツで痛めてから痛み止めとか湿布を使うことが多い。
・花粉症の時期は病院行っても同じ薬だからOTCで乗り切ってる。
・お腹が弱いので胃薬とか下痢止めとか市販で買ってよく使う。
こんな人だと年間で計算すると結構まとまった金額になる可能性が高いです。
病院行くほどじゃないけど、月1,000円以上市販薬は利用する。
お客さんでもそういう方がいればオススメしてみるのもアリですね。
【注意】セルフメディケーション税制で気をつけるべき3つのポイント
制度を理解して、OTCもたくさん使ってるからセルフメディケーション税制を使おう!
そう思っても注意点があります。
気をつけないと制度が結局使えないってこともありえます。
せっかくの知識がムダにならない3つのポイントに注意してください。
使った金額がそのまま返ってくるわけじゃない。
セルフメディケーション減税では、OTCの購入金額がそのまま返ってくるわけではありません。
『対象商品』の購入金額が年間の『所得』から引かれる制度です。
イメージとしては、節約ではなく節税の方法です。
(結果的に使えるお金が増えるので節約でも正しいですが、あくまでイメージとして)
年間の『所得』を減らすことができるので所得税(通常は所得の20%)が減ります。
住民税(一律で所得の10%)も所得から計算されるので減ります。
あと人によっては保険料や保育園費なども年間の所得から計算する場合があるので、所得が減るといろんな負担を減らせます。
勘違いで悲しい気持ちにならないよう注意してください。
それでも1万円が所得から減ると所得税と住民税だけでざっくり3,000円ほど減らせます。
3,000円自由なお金ができると嬉しいですよね。
サラリーマンは確定申告が必要
セルフメディケーション税制の利用は確定申告が必要になります。
会社勤めのサラリーマンは注意が必要です。
そもそも税金は自分で計算して自分で納めます。
自営業やフリーランスの人の場合は年度末に計算して確定申告し、税金を納めます。
サラリーマンの場合、会社が代わりに納めてくれています。
会社が納めるとはいっても処理だけの話で、毎月の給与から天引きされているのでお金自体は自分の給与からです。
サラリーマンは確定申告をしない分、住宅控除などで天引き時には計算されていなかったものは年末調整で申請し返金してもらいます。
それ以外のセルフメディケーション税制や医療控除、20万円を超える副収入などの申告には確定申告が別で必要になります。
セルフメディケーション税制の利用の場合は申告漏れで罰金ってことはないですが、その分の節税効果を逃してしまうのでもったいないです。
今ではネットで簡単に申告できるので忘れる前にサクッとしてしまいましょう。
年度末にはめんどくさがらず確定申告をしましょう。
医療控除と一緒には使えない
前の項目で一度説明しましたが、セルフメディケーション減税と医療控除は一緒には使えません。
どちらか得する方を自分で選ぶことになります。
セルフメディケーション減税で引かれるのは最大88,000円。
もし医療費の自己負担で188,000円以上払っている場合は、医療控除の方が得です。
(医療控除は10万円分は引かれるので、引かれた上でOTCの購入額より医療費が高い場合は医療控除の方が得です)
どちらの金額が大きいかを計算して、効果的な節税にしましょう。